今月のピックアップ新連載(2017年10月22日〜11月13日)

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全ての雑誌、ウェブの新連載をチェックしている漫画ソムリエ東西さんが選ぶ今月の10本。
ピックアップの理由と漫画の内容を紹介いたします。
2017年10月22日〜11月13日の新連載一覧はこちら

フルドライブ/小野玄暉(週刊少年ジャンプ 2017年11/6号)

ドイツ帰りの小柄な少年・玉城弾を主人公に描く卓球マンガ。

 少年誌のスポーツ漫画といえば、主人公が困難や出会いを通して葛藤し、成長していくのが定番。ですが、この漫画の主人公はそういうものと無縁そうな、乾いた主人公像なのが面白かった!
連載初回ですでに、強さを極めた達人のような乾いた笑い方をしますからね! さらに「チビでクォーターなためによくナメられるけど実は70年代ドイツ世界王者の孫で卓球の達人」って設定ですからね! なにそのチート設定!? なにその約束された将来のイケメン設定!? 現実にいたら俺は嫉妬で狂いそう。
ですが、今作はいきなり連載終盤の悟りの境地に至ったかのような主人公像なので、いちいち瑣末な事象に心乱されないのが良いです。読んでいてストレスを感じる展開がありません。昨今ブームの異世界転生ものや俺TUEEE!系ラノベ主人公に通じるものがありそうです。
卓球シーンも構図が大胆、迫力ある筆致で魅せてくれます!

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アンドロイドタイプワン/YASHIMA(WEBコミックアクション)

人型アンドロイドが社会に溶け込んだ、近未来の日本を舞台にしたSF作品。

 人間とは何か?ロボットとは?アンドロイドとは?明確な境界線はあるのか? この様なテーマはSFの世界において手を変え、品を変え何度も語られてきました。(そもそも、人間の定義が定まっていないので明確な答えは出せないのですが……)
今作品もそんな問いかけをもっているのでしょう。作中のアンドロイドが商品として扱われるようになっている社会描写にもうすぐ実現しそうなリアリティを感じイマジネーションをくすぐられました!
緻密に描き込まれたメカ描写にもメカフェチズムを感じます。SF好きにお勧めしたい。

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サマータイムレンダ/田中靖規(ジャンプ+)

幼馴染が海の事故で死んだ??隠された真相と奇妙な出来事が気になるストーリー。

 この作品は画力に注目して選びました。
 荒木飛呂彦先生のアシスタントを勤めていた事の影響が強くでていた初連載作品「瞳のカトブレパス」繊細なタッチのファンタジー「鍵人」などに続き3作品目である今作も大胆に画風を変えています。なかなかここまでカメレオンのようにタッチを変える作家さんは珍しいのではないでしょうか。
 画力に裏打ちされた構図や演出、大胆なコマワリが見所です。

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七億円を手に入れた僕にありがちなこと。
/川村拓(少年エース 2017年12月号)

7億当選した高校生の物語

 「人間、一皮向けばこんなもんよ」とばかりに少年漫画的な人間関係や世界観が生々しいものへと変化していく様がおもしろかったです!
 重くなりそうなテーマですが大金が生みだす悪意のリアリティに対して謎のヒロインを登場させるなど、読者のストレスが過剰にならないように世界観のバランスに配慮しているのが上手いなぁと思いました。

恋愛戦士シュラバン/青木ハヤト(少年エース 2017年12月号)

愛の力で修羅場を越えるぜ!

 主人公は世界平和というマクロな目標とヒロインとの関係を良好に保ちたいというミクロな目標を持つ矛盾した人物なので、その目標が交互に作中に登場することで我々読者は「次は世界危機!?それとも彼女!?どっち!?」「そうきたか!」とドキドキさせられます。僕はまんまと作者の掌で転がされてしまいました。
 ロボットの描き込み具合や平和維持機構などそれっぽいネーミングからも分かるように特撮愛に溢れている方なので今後の特撮あるある!な展開に期待してしまいます。

それはただの先輩のチンコ/阿部洋一(Ohta Web Comic)

誰でも知りたがっているくせに、ちょっと聞きにくい○○○についてのファンタジー。

 チンコを切り取って集める少女達の話……あらすじだけで企画感の強さが伝わると思います。
 奇抜な設定を用いながらも、リアルな心理描写と淡々としたストーリー展開、少女とチンコの対比。ディフォルメされたグロテスクな描写は思春期少女の視点で描かれることでファンタジックな物語へと昇華しています。
 この作品、オンリーワン以外の何物でもない!

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Change!/曽田正人(月刊少年マガジン 2017年12月号)

フリースタイルラップの世界に脚を踏み込むことになった、女子高生・去年栞の青春物語。

 フリースタイルブームで最近はラップ漫画も増えてきてましたね。この作品にはヒップホップミュージシャンが監修を務めていたり、先生自らMCバトルへ参加されるなど、取材を丁寧にされているのが作品に出ています。
 物語冒頭で女子高生ヒロイン二人の会話から男性ラッパーとの対峙シーンへ繋ぎ緊張感を煽りながらヒロイン達の出会いの場面へと時間を遡る導入は古典的ながらも会話の繋ぎ方に曽田先生のテクニカルな演出力を感じました。
 ラップという男臭い題材に思春期少女二人の関係性をテーマに絡めて描くあたり、漫画の上手い人は何を描いても面白いと実感しました。

神楽坂桜のSNSマンション/蒼木雅彦(マガジンポケット)

超絶お嬢様が住むマンションにはヤバい秘密があった!

 コミュ症の主人公と近隣住民をSNSで繋ぐという設定は今までありそうでなかったんじゃないかなと。SNSだったら相手と直接対峙せずにコミュ症キャラに思う存分大きなリアクションをとらせる事も可能ですからね。良いアイディアです。
 あと蒼木先生は絵柄のバリエーションが多いのでヒロインのリアクション見ていて飽きないです。ギャグにギャグをかぶせていくスタイルとあってるなと思いました。
 おもしろかったぁ!

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ながたんと青と/磯谷友紀(Kiss 2017年12月号)

戦後京都を舞台に描く美味なる恋物語。

 第一話のキャラクターを通して見せる世界観の説明し料亭の再生と年の差恋愛へ期待が高まる様に構成された導入が上手いです。自然と作品世界観に入りこめました。また作中小道具や登場人物の所作にいたるまで時間をかけて調べこんでいるのが伝わってくる丁寧な演出でした。
 この作品、ドラマ化まで予感させます!

メス漫。/篠原知宏(マガジンポケット)

数々の辛酸を嘗めながら、それでも夢に向かって足掻き続ける作家・三木本の物語。

 過酷な漫画業界で戦う結婚適齢期の女性漫画家を主人公に担当編集者のセクハラ、仕事明け女子会にヒゲを生やして参加など作中描かれる
結婚適齢期女性漫画家の悩みはリアル。しかしパワフルな主人公を通して描かれる物語は厳しいながらも希望を感じさせ読後感は爽快でした。ネタはマニアックだけど可愛らしく繊細なタッチなので万人に受け入れられるのではないかと思います。

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